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あずき工房

「丹波大納言小豆発祥の地」の石碑が立つ丹波市春日町東中、その石碑のすぐ南に柳田農園はある。丹波大納言でも「黒さや」と名づけたのは、柳田隆雄さん。江戸期には朝廷にも献上されていた幻の小豆、近年栽培する農家がほとんどなくなっていたが、隆雄さんが先頭に立って復活させた。味も値段も日本一の小豆だ。奥さんの明子さんは「あずき工房」での商品化にはげみ、おはぎや小豆ドーナツ、羊羹などのほかに、小豆ではつくれないと言われた味噌づくりにも成功した。柳田農園さんは、2007年から始めた田舎元気本舗の丹波ニューツーリズムの連携先でもある。
それにしても種(生命)というのは、不思議なものだとつくづく思う。こんなちっさな種から、どうしてこれほど見事な野菜が生まれてくるのか。植える時期が早すぎても遅 すぎても、花が咲かなかったり、実が成らなかったり。また同じ種を植えても、土壌の性質によって形状や味が変わってくる。

丹波大納言黒さや小豆がこの地だけで採れるのは、土壌とともに三尾山の清流の影響が大きいと、隆雄さんは確信している。
黒さや小豆の歴史と不思議さに感銘を受けた隆雄さんは、生産の復活と種の保存を次代につなぐため、「黒さや会」を立ち上げたのだった。そればかりか、本業の建具 師の腕を生かし、仲間の宮大工とともに「お宮」を建設し、2008年5月に三尾山麓の熊野神社境内に奉納した。ここに分祀された神様は、五穀豊穣をかなえ る豊受姫大神。

「大納言小豆は、腹が割れない、切れない。そこに引っ掛けて、このお宮にお参りしたら、縁が切れない、頭が切れない、プッツンしないということで、縁結び の神さんとしてもPRしたい」と、隆雄さんは真顔で笑いながら言う。なかなかのユーモア精神の持ち主だが、神話や伝説とはそういうものだろう。ちなみに、 すぐそばに建つ天神さんの社は、「東大受験で何人も続けて合格させた」霊験あらたかな神社として地元では有名だという。このお宮さんもいずれ食糧危機でお 参りが増えたり、縁結びやプッツン防止の神社として有名になっているかもしれない。