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村上農園の丹波栗

 土地・気候・適当な湿り気・世話

桃栗3年、柿8年。しかし「栗はむずかしいのぉ?」

「友井農園」の友井登さん(故人・当時80歳)は、丹波栗20数年のキャリアだ。食品加工指導所の指導員や兵庫県農業改良普及センターの 職員を経て、退職する少し前から始めた。「栗作郷」と言われた山南町に友井農園はある。その昔、 朝廷にも献上してきた地域だ。
この丹波地域(丹波市、篠山市)では、毎年9月には丹波栗振興会の品評会が開かれ、友井さんの栗は、毎年1位から5位以内に選ばれる。
その名人が、ポツリポツリと語る一言一言に説得力がある。
味よく見栄えもよい栗を育てるには、「土地・気候・適当な湿り気・世話(剪定や肥やしなど)」が必要条件だと友井さん。以下は、友井さんとのQ&A。

栗はガンコもん

Q/土地はどう いう条件が適していますか?
A/朝の日当たりがよく、北向きの山で、太陽に背を向けた地がいい。不思議なことに南向きの山の斜面などには適さない。西日を受けると虫がつきやすい。
Q/「適当な湿り気」のある土地というのは?
A/松・杉・ヒノキなどが生える混交林で、わらび、ぜんまい、山蕗、さんしょうなどが自生する場所がよい。地下水が通っている証 拠。とくに杉の美林が育つ傾斜地。池の傍の栗は一番よいのが採れる。適地の栗は長生きする。
Q/栗の寿命は、その土地によってかなり違いますか?
A/栗はガンコもんで、ご機嫌がよかったら100年は生きるが、悪い土地の栗は自分で命を絶って若 死にする。最近は早く枯れる栗が増えた。品種改良が必要やな。                               
Q/友井農園の品種は何ですか?
A/伊吹、銀寄、筑波の3種類。今は無くなっているけれど、昔は長光寺という品種が流行った。実はごっついでかいが、大きすぎるのは大味。その点、実は小さいが芝栗は何ともいえん味があるわな。


白より黄色のほうが糖度が高い

Q/世話の面で注 意していることは?
A/湿気が少なくなる8月末には潅水をする。それから平飼い鶏舎から出る有機肥料を適度にやっている。化学肥料を使うと、栗の大きさは見事だけども、切ったら実が白い。
Q/実は、どんな色のものがおいしいですか?
A/栗は、白より黄色ほうが糖度が高くてうまい。皮の光沢も大事。皮が何ともいえない光沢があるのは、名工がつくった漆塗りのように、いつまで も見ていたいような......。
Q/栗の木は虫によくやられますね?
A/予防しないとは半分はやられる。3~4割は虫だらけになる。


0~2度の冷蔵庫に保存

Q/栗は皮が固のいで、日持ちしそうですが、生鮮野菜と同じ ですね。防虫のために二硫化炭素の燻蒸で虫を窒息させる方法が採られたりしますが、これは問題ですね。友井農園では防虫や鮮度保持をどうしていますか?
A/50度の湯に30分浸けるところもあるけれど、設備投資が必要になる。うちは、80度のお湯に1分間浸ける出荷する。虫予防になり、品質も保てる。0~2度の冷蔵庫に保存しておくと、でんぷんが糖に変わり糖度が高くなる。

温暖化で栗の適地も北へ

Q/栗の栽培にも地球温暖化の影響は感じますか?
A/温暖化で栗の適地も北へ向かっている。いずれ北海道までいくんじゃないか。いま栗の栽培農家は100軒ほど、かつては200軒あった。品種改良だけやなくて、マロングラッセのような世界に通用するお菓子を開発する必要がある。丹波栗のブランドを守るためにも栗研究所をつくれと言っているんやけど・・・。                                                   かつて食品加工指導所の指導員というだけあって、友井さんの言うことは具体的だ。
「『百姓は上向いて暮したらあかんぞ』と言われて育った。ぶどうの栽培は上を向かないといかん。だから辞めた」と笑う。
とは言いながら、今も葡萄酒造りのためにぶどうを栽培し、平飼いの卵を育て、柿酢や干し柿づくり、木工や漆塗り、俳句など趣味も多彩で忙しい。「ガンコもんで機嫌のいい栗」のように長生きされることだろう。


丹波竜の発掘現場。友井農園は右手奥にある


2010年春、栗園を村上鷹夫さんに経営委託

友井登さんは2010年春、愛情をもって永年育ててきた栗園の生産管理・販売まで、近くに住む村上鷹夫さんに経営委託されました。村上さんはアイガモ米づくり20年以上のキャリア、ビオトープをつくって子どもたちに開放するなど里山環境づくりに熱心に取り組んでいます。友井さんは、そんな村上さんを信頼して栗園を委託されたわけですが、友井さんが亡くなられた後は、村上農園で栗を育てるようになりました。
村上鷹夫さんは、友井さんの栽培技術などを引き継ぎ、栗用の菜庫(保冷庫)を購入し、品質管理にも万全を尽くしています。ご注文は9月から受け付けますが、出荷できるのは9月中頃~10月下旬ころまです。ただし、在庫があれば11月中頃でもご注文にお応えできます。